次世代を担う高校生のための2005年未来塾

 

 未来塾のカリキュラムに関しては、アンケートを提出した塾生(数名を除く)の大多数が良好な評価・コメントを記載してくれました。 未来塾参加前は、「面倒くさそう」「何をやるのか不安」「どんな人たちが集まるのか不安」などといった思いを抱く人が少なからずいたようですが、実際に参加してすべてのカリキュラムを経験した後には、「参加前の不安がウソのよう」「志の高い人と接することができた」「学校では学べないことばかりでいい経験ができ有意義だった」「3泊4日では短い」「すべての講義がためになった」など、非常に満足度の高い内容であったことが推察されます。
 
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各講師の講義内容と高校生にとって印象に残ったプログラム
 概ねすべての講義が好評価の中、アンケートでは印象に残ったプログラムを3つ挙げてもらいましたが、比較的人気の高かったものは、得票数54件のジュニアアチーブメント本部(MESE)、42件の下垣真希先生と本城愼之介先生、次点に36件のアクション・ラーニング研究所(チームビルディング)と35件の三木谷浩史先生となっています。
1. ジュニアアチーブメント本部「MESE」
MESEについては「難しかった」という意見も少なくなかったものの、「会社経営の大変さが経験できた」「会社を黒字にするための意思決定を通じて、人の意見を聞き、自分の意見を出すことの重要性を、身をもって学べた」「意思決定の難しさがわかった」「いつのまにか真剣になっていた」など、体験型プログラムの特徴が十分に活かされていたようです。また、2日目までの講義内容を実践できたという観点でも、非常に有意義であったと思われます。
2. 本城 愼之介「正解 回答 成功 成長」
本城愼之介先生の講義では、「正解より回答」「思考より試行」「成功より成長」など、斬新でわかりやすいキーワードが印象に残り、共感を得、塾生の日常生活に一石を投じたようでした。また、「0.9と1.1の差」については、「今後意識していきたい」とするコメントも多く、講義内容が非常に身近に感じられたものと思われます。
3. 下垣真希「音楽は心のビタミン剤」
下垣真希先生の講義では、先生の歌を聞いて「鳥肌が立った」「自然に涙した」という塾生もいたほどで、音楽のすばらしさに「感動した」「感激した」という意見が最も多くありました。また、「先生の授業を聞いて、音楽が好きになった」という意見もあれば、命・倫理・人生について考えさせられた塾生もいたようで、様々な反応が見られた講義のひとつでした。
4. アクション・ラーニング研究所「チームビルディング」
チームビルディングは1日目に組み入れられていたことから、未来塾の参加に対して不安を抱いていた多くの塾生を和ませるのに有効だったようです。また、いわゆるアイスブレイクの効果のみならず、課題を克服するために意見を出し合い「コミュニケーションの重要性を体験できた」とするコメントや、「思考より試行を実践できた」というコメントもありました。さらに、「このプログラムを境に積極的になれた」など、自分のスタンスの変化を感じた塾生も少なくなかったようです。
5. 三木谷浩史「成功の5つのコンセプト」
三木谷浩史先生に対しては、「ベンチャー企業の社長の雰囲気」や「リーダーのオーラ」など、その魅力を感じた一方で、想像していたよりも気さくな話口に親近感を感じた塾生もいたようです。また、「分析力」に裏打ちされた「直感」が重要であるということが印象に残ったという意見も多く見られました。
6. 大竹 美喜「与えられる道よりも自分で選んだ人生」
未来塾最初の講師となった大竹美喜塾長の講義では、重みのある言葉が印象に残ったようで、例えば「知力・体力はもちろん必要だが、心力はもっと大切である」「人生経験大学の優等生になれ」「揺れても沈まず」「変化は避けられないのだから、変化を創り出すべし」「自由と責任の重さは同じである」「自己との戦い」など、塾生一人ひとりが自分の立場に当てはまる言葉を受け取って持ち帰ったように思われます。今回は未来塾の目的を「自分探しのキッカケ作り」と定めており、冒頭からこうした目的について正面から考えさせることができた、非常にインパクトのある時間だったと考えます。
7. 山本 志都「リーダーに必要な共感力を育てる聴き方」
山本志都先生の講義では、「聴くことが重要なコミュニケーションであり、その大切さを改めて知った」という意見が多くありました。このことは、「聴くこと」や「共感」がどういうものであるかを知ったことで、日常何気なく行っている「聴く」という行動を見直す、いいきっかけになっているようでした。子どもばかりでなく、大人社会も含めてコミュニケーション力が低下していると言われていますが、コミュニケーションはビジネスばかりでなく人と人とのつながりには不可欠な能力であり、塾生の反応を見るに、非常に貴重なプログラムであったと考えます。
8. 松坂 敬太郎「創造で拓く21世紀〜挑戦とロマン」
松坂敬太郎先生の講義は、「一冊の伝記を読破したような感じがした」というコメントに代表されるように、ロマンに満ち溢れた内容で、特に会社経営に関心を持っている塾生は相当程度惹きつけられたようです。更に、多くの塾生が、大切な人のために夢を追い求め、挑戦し続ける先生の姿勢に魅力を感じたようです。
9. TPIジャパンIIE-自己実現への投資
IIE(Investment In Excellence)では、漠然と思い描いていた夢を文章と絵で表現し、かつグループでの発表を通じて、一層具体化できたようです。また、夢の実現に向けた、前向きな姿勢の重要性を認識できたのではないかと思います。このIIEまでに聞いた講義の内容を体系的に整理する意味でも、「ためになった」という意見もありました。 更に、この講義でイメージした各人の夢をベースに、「これからの社会と私の夢」というテーマでまとめ直し、最終日の卒塾式では30秒間のスピーチを一人ずつ行いました。全塾生と関係者を前にして、相当の緊張を感じている姿が初々しくもありましたが、皆堂々と大きな声で自分の夢を語っていました。 
 「自分探し」をするという未来塾コンセプトはカリキュラムを通じ一貫して持たせており、卒塾式の発表により集約されるとともにその目的は達成できたもとの思われます。夢は塾生個人のものですが、併せて社会との関わり合いを考えることで、社会への貢献を意識できたと思います。多くの人がこのように考え、夢を実現していけば、よりよい社会・地域・日本を築けるものと考えます。アンケートを個別に目を通しても、講義に対する評価は総じて良好なものでした。但し、未来塾全体の感想では、若干名から以下のような指摘もあり、これらについては、未来塾をよりよい企画とするべく、次回以降の改善点にしていきたいと考えます。 ・ 開催時期・開催場所を再考した方がいい。(虫が少なく、携帯が使える場所) ・ スケジュールがタイト。(講義が多い・ディスカッション以外の交流の時間がほしい・風呂の時間が短い。) ・ テキストの送付、集合場所・時間の連絡などが遅い。
 

  

 

 

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