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講師インタビュー

講義2 「自尊心をもって生きる」 織田善行講師

Q. 高校生に今経験しておいてほしいことはありますか。

A 3年生はもう受験だろうから、1,2年生の間にできるだけたくさん本を読んでほしいです。
 自分の今考えている将来、本当に今のままでいいのだろうか。本を読んでいるとモデルが見えてきます。偉人伝でなく、「あっ、こういう生き方があるのか。こういう考え方があるのか」と、人生に対する考え方が出てきます。そこからモデルも出てきます。
 例えば、貧しかった境遇の人が野球選手になりますよね。自分の生まれた所に戻ってきて、子供たちに話をする。それが子供たちにとってのモデルになりうるのです。「小さい時に自分と同じような境遇にあった人があそこまで偉くなった。自分もあのような人になりたい」と。子供たちにとってのモデルになります。そういうモデルを見つけてほしい。それは目標を見つけることになります。
 一番極端な例が三重苦のヘレン・ケラーです。三重苦は普通だったら自殺の論理ですよ。だけどサリバン先生がいて、立ち直ってかなり楽になった。いい先生(モデル)を見つけられたということが大きいでしょう。それと楽観主義的な考え方を取り入れることができたのだと思います。(盲目のピアニストの)辻井君だってそうでしょう。ふつうは自分の不遇を言い訳にしますよ。     

    

Q. 塾生を見ていて何か気になったことはありますか。

A. 一番気になったことは、「どんな目標を持てばいいのですか」という質問です。
 これではアファメーションの書きようがない。この質問に対してどう答えたらいいか逆に質問したいくらいです。昨年は女性にこの質問が多かったけれど、今年は男性からありました。私があなたに代わって決めることじゃない。あなたが何をやりたいか、それを決めるためにここ(近畿未来塾)に来たのではないの? みんなエール大学の話は真剣に聞いています。「自分もそうなりたい、そうあればいいな」と思っています。だけど「私はどんな夢を持てばいいですか」は、そりゃないでしょというかんじです。今日の講義で自分の目標を作らなきゃいけないというきっかけになればいいですね。


講義3 「コミュニケーション力を育む」 前田嘉昭講師

Q. 今年の高校生の印象はどうでしたか?

A. 非常に楽しく参加していただき、また積極的に交流を深めていて、講義の成果も上がったと思う。

Q. 高校生に必要なこと

A. 相手の話をよく聞くこと。相手を観察し、内容をより深く理解することでより一層コミュニケーション能力が高まると思います。

Q. 高校生にお勧めの本

A. 安岡正篤の陽明学に関する本です。成功事例、失敗事例を歴史から学び、自分なりの意見を持つことが大事です。これからの時代は積極的に自分の意見を言うことにチャレンジするべきです。


講義4 「グローバリゼーションの中の日本と求められる人材像」
                      チャールズD・レイクII講師

Q. 現在の金融危機に対する日本政府の対応はどう思いますか?

A. 日本政府が行なっているIMFへの資金提供と景気刺激策は金融の専門家の間でも評価されている対応だと思います。今後重要になってくるのは金融機能の強化において、日本がリーダーシップをとれるかどうかです。金融庁の努力だけでなく、政治家による国民への説明が必要になってきます。
 また、景気刺激策として税金を投入する場合は財政規律も大事になってきます。そのため経済構造全体の改革について議論をしていかないといけません。     

Q. 高校生に読んでほしい本はありますか?

A. 明治時代に国際社会に対して日本の価値観を説明するために書かれた、新渡戸稲造の『武士道』です。
 新渡戸稲造は、国際連盟の事務局長や東京女子大学の初代学長など様々な活動した人です。明治時代を代表する国際人だと思います。新渡戸稲造が国際社会に日本の価値観を説明する上で到達したのが武士道でした。現代の日本の価値観というものを考える上で、ディベートなどの題材にも適していると思います。     

    
  

講義5 「日本の法曹の役割と法曹を志す人へ」 大川哲次講師

Q. 今日の高校生の印象はどうでしたか?

A. 最初は幼い印象だったのですが、一生懸命話を聞いてくれてよかったです。     

Q. 今の法曹界について

A. 徐々に法曹界の人気が落ちている中で、優秀な人材を発掘したいということで話をしました。
 弁護士は困っている人を助けられるというとてもやりがいのある仕事だと思います。また、罪を犯した人、借金で困っている人、犯罪被害者を助けることもできます。     

Q. 法曹界を目指す高校生には今何ができるでしょうか?

A. まず興味を持つことです。例えば、裁判員制度などに対しても興味を持つことでいかに法律関係の仕事がやりがいのある仕事かが 分かれば、努力することができると思います。     

Q. 高校生へのメッセージをください。

A. 十代後半から二十代前半に粘り強く頑張ることが、将来の糧になります。苦労から逃げないようにしなければならないですね。     

    
  

講義6 「夢を実現するチカラとは?」 黒岩祐治講師

Q. テレビとネットはライバルではなく、違った役割を担うものなのですか。

A. このあたりはまだ整理されていないところがあるのですが、YouTubeの存在は無視できなくなっているのは現実です。YouTubeでみんないろいろな動画を見ているわけでしょ。倫理的な問題があったりしても、抑え込めないのですよ。そのあたりとこれからどうやって共存していくのかな。これからもっと形は変わってきます。そうなった時に最終的にコンテンツ・番組の時代になります。コンテンツがどれだけ優れているかが勝負だ。今までテレビのビジネスモデルというのは、テレビ局の中での限られた時間の中で、時間を切り割りして売っていて、お金を自分たちで配分して制作費に充てるわけ。それがうまく当たった ら、例えばビデオにして売って収入を得るということはあったけれども、これからは番組(コンテンツ)が先にありき。映画みたいな感じです。映画は企画から始まるわけです。コンテンツ制作から始まって、それが次の展開をしていく。その中でインターネットとテレビの新しい融合の形が出てくると思う。今は過渡期でまだ分かりません。     

Q. 高校生に今やっておいてほしいことは。

A. きちっと勉強しておいた方がいいです。目の前にあることをしっかりやるということ。これはなんだかんだいっても大事だと思います。好きな科目もあれば嫌いな科目もあるかもしれない。
 受験勉強も乗り越えないといけないかもしれない。でも今でしか、好きじゃない勉強もやるというチャンスはおそらくないと思います。必要な時間だと思って、それはきちんとやった方がいいと思います。     

    
  

講義7 「一つのことに一流になれ」 水野彌一講師

Q. 講義を受けていた塾生の印象をお願いいたします。

A. とても熱心に聞いていた。与えられた機会に感謝しなくてはならないし、それが出来ている塾生が多くいたので、良かった。     

Q. スポーツなど仲間と成し遂げる事をし、仲間のために何が出来るかを考えてほしいとおっしゃっていましたが、塾生が大学に進学して、スポーツ以外に何か出来ることはあるとお考えですか。

A. 人との関わりを持つことが大切。豊かな社会になってしまい、濃密な人間関係を作りにくくなっている。「自分のことは放っておいて」や「私はこうやりたい」ではなく、譲ることが大切。自分の立場をわきまえて振舞うことが求められる。それにはまず、自分を知ること。
 自分の限界を知り、自分の限界に向き合う。成長する相手は知識でも社会でもなく、今の自分であり、今の自分の限界。自分の限界を超えた時、新しい世界が見えてくる。だから、今の自分で見えているもので判断しない。成長したら、同じものがどう見えるか。自分の世界を広げることが求められる。     

Q. 塾生にお勧めの書籍をご紹介ください。

A. 江戸時代の日本人は、勤勉と倹約で高貴な人々だった。江戸時代の教育は戦前の教育につながり、戦前の教育は戦後の教育につながる。今の時代の教育はその先の未来につながる。今の時代の教育は江戸時代の教育に学ぶべきところが多分にある。江戸時代の人々に学ぶところがあるので、この書籍を紹介します。加藤祐三『幕末外交と開国』(ちくま新書)     

    
  

講義8 「明日への今」 田中紘一講師

Q. 高校生に経験して欲しいことは?

A. 非常に難しいんだけど、人間は坂をまっすぐ登って行くような成長はしない。必ず、悩みながら立ち止まる。そして、ある機会で、上がっていく。このことをまず、知っておかないと。
 僕は、数学をずっとやっていたんだけど、ある時に突然とぱっと明るくなる時があるんですね。そのことを知った上で、「継続こそ力なり」ということを心におき、こつこつと、ひとつずつプロセスを経るということが大切です。
 でも、さぼっちゃおうかと思う時が、沢山あります。僕らの例で言うと、悪い患者さんといい患者さんがいる。片方は、医者に対して常に攻撃的。もう片方は、お医者様々という具合。心の中ではどうしても、いい患者さんの方にアプローチしてしまう。
 でもそうじゃない。きらいなものをどれだけ上げるか、ということが大切です。だけど、基本的には好きじゃないと。好奇心旺盛ということが大事だと思う。
 そして、「継続こそ力なり」。高校時代は、特にそうだと思います。色々なことをしながら、自分の好きな一つのことをずっと続けていけたら、自分に自信ができてくる。そして心に響いてきます。     

Q. 医者不足が問題になっていますが。

A. 医者の立場から言うと、医者の数を増やしてほしい。産婦人科医と外科医が特に少なくなっています。
 その理由は「きたない、きつい、きけん」の3Kと言われています。これらの環境を改善していく必要があります。だけど逆に、僕にとっては外科医はおもしろい。若い外科医達に、上の人達がおもしろいぞということを提示してあげる方が法整備するよりも、大事じゃないかと思います。     

    
  

講義9 「命の賛歌〜かがやきながら生きるには」 下垣真希講師

Q. 塾生の印象をお聞かせ下さい。

A. 本当に心強い子たちだなあと。「頼んだよ」という思いで話をさせて頂きました。
 例年と比べて元気で反応があるかな。でも例年ここに来ている子供たちは、まじめな態度でとても レベルが高いなと思います。最近はお笑いブームの影響ですぐおちゃらける子が多い中、本当にまじめで真剣さが伝わってくる子供たちの誠実な感じがとても嬉しかったです。     

Q. 塾生に何かメッセージを頂けますか

A. 若い子供に話を聴いてもらえるということがすごく嬉しいので、毎年ここに来るのを楽しみにしています。やっぱり次の世代に託しているわけですから、私たちの世代、それ以上の世代で頑張った部分とだめにした部分 ― どちらかといえばだめにした部分の方が多いかもしれません ― 豊かさ故にだめになった部分、だめにした部分をみんなにはもう一度本質を見極めてほしいです。
 フランシスコ・ザビエルが日本に来た時、自国に驚きの手紙を送っているんです。貧しく、こんなに小さな島国である日本で、なんて崇高な精神の人がいることだろう。皆、貧しいながらも謙虚で勤勉で人のことを常に思いやって慈愛に満ちている。ヨーロッパという文化の発達した国から来た人を驚愕させたほど、日本人の精神性の高さというものは昔あったわけですね。それを私たちが、何かモノに精神を蝕まれている部分があるのではないか。だからもう一度、私たちは日本人のDNAを頂いているのだからそこに立ち返って欲しい。また、そういう所を少しでももう一度、自分で体現できたら嬉しいと思います。     

    
  
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